遺族年金とは?金額がいくらでいつからいつまでもらえるの?

遺族年金

「夫が先に旅立ったら・・・」
そんな風に、死んだときのことを考えたくないと思われるかも知れません。

ですが
夫(妻)が亡くなった・・・
父親(母親)が亡くなった・・・

色々な状況が自分たちの周りでは起こり、みなさんいつかは将来の不安を抱えるものです。
決して他人事ではありません。

そんな時、一番の不安はやはり「お金」ではないでしょうか。
特に、家族を養っていた方が亡くなったとなれば、大きな不安が襲い掛かってきます。

これからお話するお話は、少しでも安心に繋がる情報として知っていて損はありません。
では、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」「中高齢寡婦(かふ)年金」「経過的寡婦加算」「寡婦年金」についてお話させていただきます。

遺族年金とは?

みなさん「年金保険料」をそれぞれ支払っていますよね。

「年金」と聞けば、老後に受け取る年金である「①老齢年金(ろうれいねんきん)」をイメージされると思いますが、それだけではないんです!

亡くなったときに受け取ることができる「②遺族年金」・障害状態になったときに受け取ることができる「③障害年金」があります。

年金保険料は、この3つのリスクをカバーしてくれる重要な役割をしています。

ですので、毎月支払うのは大変かも知れませんが、「補償」ということを考えると滞納せずしっかりと納めることが安心に繋がるのではないでしょうか。

今回お話させていただくのは、②の遺族年金についてです。

遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、どの遺族年金を受け取れるかは、亡くなった人の職業によって異なります。

自営業の方(国民年金) サラリーマンの方(国民年金+厚生年金)
「遺族基礎年金」 「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」

 

遺族基礎年金とは?

遺族基礎年金とは、年金に加入している人が亡くなった時、亡くなった人によって養われていた「子のいる配偶者」又は「子(18歳の年度末の子)」に支給される年金です。

以前は妻が死亡した場合、夫への支給はありませんでしたが、2014年4月からは「子供のいる夫」も支給対象となっています。

子供がいない場合

遺族基礎年金は、遺族となった「子」を養育するための年金であるといえます。その為、夫婦の間に子供がいなければ支給対象外です。

しかし、「夫」が亡くなった場合「妻」は、60歳から65歳になる直前まで(要件を満たせば)寡婦年金を受給できる場合があります。要件を満たさないからといって諦めず、専門家に相談してみましょう。※寡婦年金については、この記事後半でも説明させて頂いています。

「遺族基礎年金」受給の条件

亡くなる前々月までに、国民年金保険納付済期間(保険料免除期間を含む)が、加入期間の2/3以上(未納期間が3分の1未満)であること。

又は、H38年4月1日以前の場合、死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がないこと。

例)
死亡日 H29.9.1
前々月 H29.7

前年の「H28.8~H29.7」の1年間に滞納が無ければ受けることができる

「子」の条件

・18歳になった年度の3月31日までの間にある子(死亡した当時、胎児であった子も含む)
又は、20歳未満で、障害等級1級または2級の障害状態にある子
・婚姻していない子

注意点:夫の条件

・妻が死亡して夫が受給する場合は、妻の死亡時に夫の年齢が55歳以上であることが必要になります。

注意点:妻の条件

・正式に婚姻していない事実上の婚姻関係にある内縁の妻も含まれます。しかし、あくまで「もらえる権利がある」ということであり「受給には審査が必要」となります。その審査には、事実婚を証明するための条件(全国遺族年金相談センター参照)がありますので、事実婚状態の方は事前に確認することをお勧めします。

・夫が亡くなった場合に妻の年齢条件はなく、あくまで「子供の年齢が18歳年度末になるまで」支給となります。

「遺族基礎年金」はいくらもらえるの?

夫か妻、どちらかが亡くなった場合、子には支給されず「子の分もあわせて妻(夫)に支給」され、夫と妻両方とも亡くなった場合、子に対して支給されます。

遺族基礎年金額(H29.4~)

779,300円 + 子の加算

第1子
第2子の加算額
各 224,300円/年
第3子以降の加算額 各 74,800円/年

(注)子が遺族基礎年金を受給する場合の加算は、第2子以降について行い、子1人あたりの年金額は、上記による年金額を子供の数で割った額。

奥さん+子供1人残された家庭の場合 779,300円+224,300円=1,003,600円/年
奥さん+子供3人残された家庭の場合 779,300円+(224,300円×2人)+(74,800円×1人)=1,302,700円/年
子供が1人だけ残された場合 加算は第2子以降に対して行われるため、1人だけの場合は「遺族基礎年金額」の779,300円/年
子供が2人残された場合 (779,300円+224,300円)÷2人=501,800円/1人当たり

「遺族厚生年金」とは?

遺族厚生年金は、サラリーマンの方が「厚生年金」に加入することで、亡くなった時に遺族へ給付される年金です。原則、再婚しない限り一生涯受け取ることができます。

そして、遺族厚生年金は、遺族基礎年金とは違い「子供がいない」家庭でも受給することができます。

つまり、厚生年金に加入していた被保険者が亡くなった場合、そのご家庭に「子」がいれば「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」を併せて受け取ることが可能。逆に、「子」がいなければ、遺族厚生年金のみということになります。

子どもがいる 子どもがいない
遺族基礎年金+遺族厚生年金 遺族厚生年金

※遺族厚生年金を受給している妻が、一定の条件を満たせばプラスでもらえる制度もあります。この記事後半でも載せていますので、「中高齢寡婦加算」「経過的寡婦加算」についても忘れず確認しておきましょう。

遺族厚生年金受給の条件

下記4つのいずれかの条件をを満たしていることが必要です。
①被保険者が死亡したとき

②被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき
(ただし、遺族基礎年金と同様、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あること)

又は、平成38年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます

③老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき

④1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡したとき

「遺族厚生年金」受給優先順位

亡くなった方の死亡当時、亡くなった方に生計を維持されていた下記表の方が対象

条件
優先順位 1.配偶者又は「子」 ▶妻の場合:年齢制限なく基本的には一生涯もらえるが、夫死亡当時30歳未満の場合、5年間限定の有期給付となる。

▶夫の場合:妻死亡当時夫が55歳以上であること(60歳から支給されるが、遺族基礎年金を受けられる場合は、60歳未満でも支給開始となる。55歳未満の夫には遺族厚生年金受給権はない。そのため遺族基礎年金が夫に支給されるときでも、遺族厚生年金は子に支給となる)

2.父母 死亡時55歳以上であること⇒60歳から支給
3.孫 18歳の年度末を経過していない子(孫)、または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の子(孫)
4.祖父母 死亡時55歳以上であること⇒60歳から支給

 

「遺族厚生年金」はいくらもらえるの?

死亡した人が本来受け取る予定だった老齢厚生年金の3/4相当
※詳しい計算方法はこちら

遺族厚生年金に加算される2種類の年金

遺族厚生年金に付け加えられる給付として「中高齢寡婦加算」「経過的寡婦加算」というのがあります。これは、夫を亡くした妻を経済的に支えるための加算です。

「中高齢寡婦加算(ちゅうこうれいかふかさん)」とは?

「遺族厚生年金」に付け加えられる給付の1つ。「寡婦」加算ですので女性限定となります。
中高齢寡婦加算は、遺族厚生年金にプラスされる年金のため、もし遺族厚生年金を受け取っていない場合は、支給対象とはなりません。

妻が65歳になると自分の老齢基礎年金が受け取れるため、中高齢寡婦加算はなくなりますが、40歳~65歳になるまでの間は、年額585,100円受け取ることができます。

「中高齢寡婦加算」受給条件

①子がいない場合は、夫の死亡当時の妻の年齢が40歳以上65歳未満であること

②子がいる場合は、妻40歳の時点で遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていたが、子が18歳年度末(一定の障害の状態にある子の場合は20歳)に達したため、遺族基礎年金を受給できなくなった場合

「経過的寡婦加算」とは?

遺族厚生年金を受けている妻が65歳になり、自分の老齢基礎年金を受けるようになったときに、65歳までの中高齢寡婦加算(65歳から支給中止)に代わり加算される一定額を「経過的寡婦加算」といいます。

65歳以降に初めて遺族厚生年金を受け始めた妻にも加算されます。なお、遺族厚生年金の受給者が障害基礎年金の受給権も同時に有しているとき(ただし、支給停止になっている場合は除く)は経過的寡婦加算は支給停止となります。

「寡婦年金(かふねんきん)」とは?

寡婦年金とは自営業者など、国民年金保険料納付済期間が25年以上ある夫が亡くなった時「妻へ支給」される年金制度で、妻自身の年金受給開始までの間(60歳から65歳になるまで)支給されます。

自営業の妻の場合、遺族厚生年金も中高齢寡婦加算もないことが多いので、その代わりとなるのが寡婦年金であり、老齢基礎年金が受給できるまでのつなぎとなる年金です。

「寡婦年金」受給の条件

・夫が第1号被保険者として10年以上保険料を納付(免除期間を含む)
・夫によって生計を維持していた
・夫が年金をもらわず亡くなった
・妻の年齢65歳未満
・妻と10年以上継続して結婚している

受給できない場合

・夫が「障害基礎年金」の受給権者であった場合
・夫が「基礎年金」を受けたことがある場合
・妻が繰り上げ支給の基礎年金を受けている場合

いつもらえるの?

生計を維持されていた妻に対して60歳から65歳になるまでの間支給されます。

いくらもらえるの?

年金額は、夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3

「年金関係」いつどこに申請すればいいの?

遺族年金については、加入中の年金種類により、届ける機関が異なります。

申請先~自営業の方

▶遺族基礎年金の手続き
お住いの地域の「市区町村の役所にある年金担当窓口」へ相談・連絡を行います。

ご家族の方がお亡くなりになった場合、まずは役所に死亡届を提出します。その際、遺族年金の手続についても同時に確認をすると良いでしょう。遺族年金の手続きには、諸々の書類を揃える必要があるため、死亡届と同時に申請を完了させるのは難しいかもしれません。

申請先~会社員の方

▶遺族厚生年金等の手続き
申請の窓口は「各都道府県の年金事務所」となります。

相談などは、日本年金機構が運営する「ねんきんダイヤル」で受け付けています。電話以外では、年金事務所の窓口での直接相談のほか、文書での問い合わせをすることもできます。

いずれの方法でも、ご家族であることの本人確認が必要となりますので、まずは電話での連絡をおすすめです。耳が不自由な方の場合、FAXによる相談も受け付けています。

申請先~公務員の方

平成27年10月より、公務員の方が加入している共済年金については、厚生年金と統一されることになり、申請先も厚生年金と同じ「各都道府県の年金事務所」になります。

共済年金は「国家公務員共済組合」「地方公務員共済組合」「私立学校教職員共済組合」等に分かれています。ご自身が加入中の組合に、直接問い合わせすることも可能です。

「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」「中高齢寡婦年金」「経過的寡婦加算」「寡婦年金」5つのお話をさせて頂きましたが、すべてに条件があり、状況により判断が難しいケースもあるかと思いますので、上記の相談窓口で早めに確認されることをお勧めします。

申請に必要なもの
▶年金手帳
▶戸籍謄本
▶世帯全員の住民票の写し(住民票コードの記載があるものが望ましい)
▶死亡者の住民票の除票(世帯全員の住民票の写しに記載があればそれでも可能)
▶請求者の収入が確認できるもの(所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票など)
▶子どもの収入が確認できるもの(義務教育終了前は不要、高校生は在学証明書または学生証)
▶死亡診断書のコピー、請求者の金融機関の通帳(口座番号がわかるもの)
▶印鑑

まとめ

年金は正直「ややこしい」ですよね。頭が混乱します・・・。おおざっぱに整理しますと・・・

▶自営業の方(国民年金)は、「遺族基礎年金」と「寡婦年金」

▶サラリーマンの方(国民年金+厚生年金)は、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」「中高齢寡婦年金」「経過的寡婦加算」が関係してきますので、まずは、お近くの年金事務所や市区町村の窓口へご相談されることをおすすめします。

大切な人が亡くなったのに、お金のことを考えるのはお辛いかも知れませんが、生きていくために必要な制度は十分に活用し、安心して生活できる基盤を作っていきましょう。