高額介護サービス費・合算療養費とは?基準額払い戻し金額はいくら?

高額介護サービス費

高額介護サービス費とは

介護保険サービスは、原則として1割(一定の所得以上の方は2割)負担で利用できます。
その負担額が、月に一定額以上となった場合、超えた分の金額が払い戻されることを「高額介護サービス費」と言います。

払い戻される対象となるのは、訪問介護やデイサービス、リハビリなど介護保険対応(介護給付)のサービス費用です。施設入居費やデイサービスの食費、福祉用具購入費などは保険給付の対象外のため、ここでお話する高額介護サービス費対象外となります。そして、介護保険の区分支給限度基準額を超えた部分も対象外です。

私個人の話になりますが、学校卒業してからずっと介護現場で働き、ケアマネジャーとしても経験を積んできました。
その中で学んだことなども含めながらお伝えしたいと思います。

まずは、高額介護サービス費に関係する「介護保険」について軽く説明させていただきます。

介護保険とは

介護保険とは、健康保険と同じように国民全員が40歳になった月から加入し、介護保険料金を支払い、介護が必要な人ときに認定を受け、必要な介護サービスを利用することができる制度(H12年4月~)を言います。

そして、この制度は、利用者自身の意思決定でサービスを総合的に利用できる「①利用者本位」、ただお世話するのではなく自立した生活が送れるように支援する「②自立支援」という特徴があります。

①ケアマネジャーは、経験と知識から「このようなサービスがありますよ。いかがでしょうか」と提案はしますが、強制的に行かせたりサービス利用開始させたりはしません。

決定するのは、利用者自身です。(利用者による意思決定が難しいケースは、ご家族様や成年後見人などによる決定することもあります)

②そして、とても大切な「自立支援」。若い頃は、練習すれば回復した機能でも、高齢になると維持すら難しくなります。介護保険が始まった当時、「ヘルパー=家政婦」と思っている高齢者も多くいました。

そのため、利用者にできる能力があるのにも関わらず、ヘルパーがサポートすることで利用者の能力・機能が低下するという問題が発生し、年々改正された結果「自立支援・予防支援」という考え方が強くなりました。

介護保険を利用できる人とは

介護保険を利用できるのは、介護認定を受け「要支援1~要介護5」となった下記対象者となります。

表を見てもわかるように、特定疾患という16種類にあてはまる方は、早くて40歳から介護保険を利用することができます。

年齢 介護保険利用条件
第1号被保険者 65歳以上の人 寝たきりや認知症などによって介護が必要と認められた場合
第2号被保険者 40歳~64歳の人 特定疾患(16種類)」により介護が必要になった場合

1.がん末期(医師判断)
2.筋萎縮性側索硬化症
3.後縦靭帯骨化症
4.骨折を伴う骨粗しょう症
5.多系統萎縮症
6.初老期における認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症等)
7.脊髄小脳変性症
8.脊柱管狭窄症
9.早老症(ウェルナー症候群等)
10.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
11.脳血管疾患(脳出血、脳梗塞等)
12.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
13.閉塞性動脈硬化症
14.関節リウマチ
15.慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎等)
16.両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

 

介護認定申請~介護が必要(要介護)になった時

誰にでも介護が必要になる可能性があります。

「サポートしてほしい」「生活に不安を感じる」と思ったら、早めに「介護保険の申請」を居住地の市区町村へ行いましょう。もし、自分で行けないという事であれば、ご家族様に相談し代わりに申請してもらうことも可能です。

介護認定の申請を市区町村にすると、「認定調査(介護の必要量を調査)」を行う日時決めの連絡が入ります。そして、認定調査が終わると、介護認定審査が行われ、早ければ申請から1~2月程で「介護保険証」がご自宅へ送られてきます。

※介護保険は、介護認定の結果が出ていなくても、申請した日から暫定的に利用することが可能です。しかし、介護度に応じて利用限度額が定められているため、暫定的利用開始する際は注意が必要となります。(その辺は、ケアマネジャーへ任せておけば大丈夫です)

脳梗塞や骨折などがきっかけで申請される方も多いかと思いますが、「腰が痛くて動くのが辛い」という方等も無理はせず、早めに相談・申請をしてほしいと思います。

「他人(ヘルパー)を家に入れたくない」
「まだ自分はできる」
「周りに迷惑かけたくない」等、思われる方もいらっしゃるかと思いますが、無理をして悪化やケガをしては元も子もないありません。

今はだいぶ「予防」への取り組みやサービスも充実してきているので、体が動けなくなってからではなく、早めに行動しご自身の体のことを一番に考えましょう。

要介護度の状態区分とは

要介護度とは「介護が必要な必要量」を示したものです。どのくらい介護サービスを行う必要があるかを介護認定・介護認定審査によって7段階に分け判断します。

※下記表の状態は目安です。本来の認定調査では、もっと細かく判断の基準が設定されています。

  認定区分 状 態
軽度 要支援1 日常生活能力は基本的にあるが、要介護状態とならないよう一部支援が必要な人
  要支援2 立ち上がりや歩行が不安定。排泄、入浴などで一部介助必要だが、身体の状態維持または改善の可能性がある人
  要介護1 立ち上がりや歩行が不安定で、排泄、入浴などで一部介助が必要な人
  要介護2 1人で起き上がることが難しく、排泄、入浴などで一部介助または全介助が必要な人
  要介護3 1人で起き上がり、寝返りをするのが難しく、入浴、排泄、衣類の着脱など全て介助が必要な人
  要介護4 日常生活能力の低下がみられ、排泄、入浴、衣類の着脱など多くの行為の全て介助が必要な人
重度 要介護5 日常生活全般において全介助状態。コミュニケーション困難な人。

 

支給限度額と自己負担額(在宅の場合)

介護保険には、介護度に応じて「支給限度額」というのが定められています。この限度額内であれば、利用者は1割(又は2割)で介護保険サービスを利用することができるのですが、限度額オーバーとなったら10割負担しなければなりません。

※介護保険証の認定の有効期間の下にある「区分支給限基準度額(支給限度額)」が印字(下記表の「自己負担額(1割)」の数字)されていますので確認してみてください。

区分 認定区分 支給限度額(月額) 自己負担額(1割) 自己負担額(2割)
※65歳以上の人で年間合計所得160万以上
予防給付 要支援1 50,030円  5,003円 10,006円 
要支援2 104,730円 10,473円   20,946円
介護給付 要介護1 166,920円  16,692円  33,384円
要介護2 196,160円  19,616円  39,232円
要介護3 269,310円 26,931円  53,862円 
要介護4 308,060円 30,806円  61,612円 
要介護5 360,650円 36,065円  72,130円 

 

介護保険サービス利用目安

訪問介護、通所介護(デイサービス)など、時間や人員の配置、要介護度、地域によって1回の利用料金は変わります。
※専門用語でわかりずらいかと思いますが、介護給付費単位数等サービスコード表というのがあり、1回利用(1割負担の場合)でいくらかかるのか確認ができます。

◇要介護1の人が訪問介護で入浴介助(30分以上1時間未満)利用した場合◇
1回利用基本料金(1割負担額)/『388円

◇要介護1の人がデイサービス(7時間以上9時間未満)を利用した場合◇
1回利用基本料金(2割負担額)/『656円(1割負担額)×2=1,312円』
※食費は、自費になります。

この負担額の金額が、介護保険証の「区分支給限度基準額」以内であれば負担額そのままですが、もし、超えた場合は10割負担が発生することになります。

例)
区分支給限度基準額が、16,692(要介護1)なのに100円分オーバーしたとします。
超えた分は10割負担なので、100×10=1,000円

1,000円分オーバーしたら10,000円の自己負担が発生することになり、大きな出費となってしまいます。
そのため、ケアマネジャーは、なるべくこの区分支給限度基準額以内で収まるように計算をしながら計画を立てています。

ここがケアマネジャーの腕の見せ所なんですが・・・急な状態変化や、本人や家族の希望、その他様々な事情が発生すると、やはりオーバーする時もあります。

そこで、今回の本題である「負担月額が一定の金額を超えたら、超えた介護費が払い戻される(高額介護サービス費)」制度が登場します。しかし、最初にも述べましたが「支給限度基準額を超えた部分は高額介護サービス費の対象外」となります。ではどの部分の費用が戻ってくるのか?と疑問になりますよね。

まず先に「一定の金額」とは、いったいいくら?というところから説明させていただきます。

高額介護サービス費の一定金額「負担上限額」とは

「負担月額が一定の金額」を超えたら介護費が払い戻されます。
一定の金額とは、下記表のように定められています。

負担階段区分 負担上限額(月額)
①現役並み所得者に相当する人がいる世帯の人(課税所得145万円以上で65歳以上の人) 世帯で44,400円
②世帯内の誰かが市町村民税を課税されている人 世帯で37,200円
③世帯全員が市町村民税を課税されていない人 世帯で24,600円
④住民税世帯非課税者で、課税年金収入額と合計所得金額の合計が80万円以下の人。老年福祉年金を受給している人など 世帯で24,600円/個人で15,000円
⑤生活保護を受給している人 個人で15,000円

高額介護サービス費となるケース例

要介護4【負担上限額※上記表②】の人が、35万円分(a+b)の介護サービスを利用した場合
要介護4の支給限度額 308,060円(a)
自己負担額(介護保険給付の1割) 30,806円
高額介護サービス対象
 

=72,746円

支給限度額を超えた分(10割負担)
※高額サービス費対象外
41,940円(b)
 払い戻される金額  ☆30,806円③24,600円 = 6,206円

上記例の場合、6,206円高額介護サービス費として払い戻されます。
実際に負担した金額と比べると、6,206円というのはちょっと少ないかも知れませんね。
もし、上記例のケースが「⑤生活保護の人」だった場合、負担上限額が15,000円なので30,806円-15,000=15,806円戻ってきます。

つまり、所得が高い人ほど戻ってくるお金は少なくなり、所得が少ないほど戻ってくるお金が多くなるという制度です。

申請先は?

居住地の市区町村になります。
通常、高額介護サービス費の支給対象となった場合、居住地の市区町村から「通知」が届きますので、それを持って行き手続きを行います。
※通知が無くても、払い戻しが受けられる場合もあるので「うちはどうかな?」と心当たりのある方は居住地の市区町村へ確認してみてください。

いつ頃振り込まれるの?

高額介護サービス費の対象となる月の2~3ヶ月後に通知が届き、それから申請し約1ヶ月後に指定口座へ振り込まれます。

高額医療・高額介護合算療養費

医療費・介護費、両方の負担が重なった…

そんな時!

1年分(対象期間:毎年8月1日から翌年7月31日)の医療費と介護費を合算した金額が「自己負担限度額」を超えた場合、払戻を受けることができる「高額療養高額介護合算療養費」制度というのがあるんです。

私がケアマネジャーとして働いていた時、金銭面で悩まれているご家族も多くいらっしゃいました。

そんな時、今回お話する制度を知っていれば、少しでも悩みを軽減できたのでは・・・と反省しています。「ケアマネジャーなんだからそれくらい知っておいてーーー」というご家族の声が聞こえてきそうです・・・。

次は、高額療養費・高額介護合算療養費について詳しくお話させていただきます。

高額医療・高額介護合算療養費とは?

高額医療・高額介護合算療養費とは、医療介護の両方のサービスを利用しているご家庭の負担を軽減するための制度です。

ただし、保険外併用療養費の差額部分や入院時の食費代やベッド代は自己負担額は対象になりません。

国保や後期高齢者医療制度などを使っている世帯に、介護保険の受給者がいて、医療保険と介護保険の合計金額(世帯単位)が「自己負担限度額」を超えた場合、超えた分の金額が払い戻されます。

世帯ごとの所得や年齢によっても限度額が異なります。では、限度額についてみていきましょう。

払戻となる基準額はいくら?

年齢と所得に応じて「自己負担限度額(1年間/基準額)」は変わります。

70歳未満

 所得区分  健康保険又は国保 + 介護保険の自己負担限度額
健保/標準報酬月額83万円以上
国保/総所得金額901万円超
212万円
健保/標準報酬月額53〜79万円
国保/総所得金額600〜901万円以下
141万円
健保/標準報酬月額28〜50万円
国保/総所得金額210〜600万円以下
67万円
健保/標準報酬月額26万円以上
国保/総所得金額210万円以下
60万円
市町村民税非課税者 34万円

70~74歳(又は、後期高齢者制度に加入している75歳以上)

負担段階区分 健康保険又は国保 + 介護保険の自己負担限度額
現役並み所得者(課税所得145万円以上) 67万円
一般(課税所得145万円未満) 56万円
非課税所得者 低所得者Ⅱ 31万円
低所得者Ⅰ 19万円

※低所得者Ⅰ→被保険者が市区町村民税の非課税者等である場合

※低所得者Ⅱ→被保険者とその扶養家族全ての方の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合

払い戻しの金額の計算方法

では、実際に例を使って計算していきましょう。

①1年間の医療費(自己負担)➕1年間の介護費(自己負担)
②上記表「合算後の自己負担限度額」に当てはめる

①➖②=払い戻し金額となります。

例)75歳以上の一般
1年分医療費50万円
1年分介護費15万円

(50+15)−56=11万円払い戻し

注意点

高額療養費高額介護サービス費の支給を受けた場合は、その分差し引いて計算して下さい。
◆介護保険施設入所時の居住費や食事負担、差額ベッド代、日常生活費、住宅改修や福祉用具の購入費などは対象となりません。
◆自己負担限度額を超えた金額が500円以下の場合は支給対象外です。

世帯内で同一の健康保険加入の場合

もし、同じ世帯のおばぁちゃんもおじいちゃんが同じ健康保険であれば合算して計算することができます。下記例のケースは、結構あるのではないでしょうか。

例)
おじいちゃん→国保加入:認知症で介護保険対象の施設へ入所
おばあちゃん→国保加入:大腿骨骨折で病院へ入院

上記費用を合算して、限度額を超えた分は払い戻しされます。

例)
1.おじいちゃんとおばあちゃんは、国民健康保険加入
2.息子は健康保険加入

このような場合は、1と2は合算できません。

対象者とは?

介護保険、健康保険および後期高齢者医療制度については、被保険者ごとに支給されます。国民健康保険については、住民基本台帳上の世帯主に支給されます。

なぜ8月から1年間の費用?

多くの市町村の場合、国民健康保険料の支払い額が決定するのは、7月前後。決定後、保険証の発行手続となります。そのため、一見中途半端だと感じる8月1日〜翌年7月31日までの一年間分が合算療養費の対象となります。

どこへ申請するの?

まず、介護保険(市区町村)の窓口へ申請手続きを行い、介護保険の「自己負担額証明書の交付」を受け、加入している健康保険の窓口で手続きを行います。

申請の際は、健康保険証・介護保険証・印鑑・口座番号のわかる通帳などが必要となります。その他、必要なものがないか事前に電話で確認してから申請にいくことをおすすめします。

まとめ

介護保険サービスを利用したものに対して、一定金額を超えた分が返ってくる「高額介護サービス費」についてお話させていただきました。実際に払った介護保険サービス料と比べると「数千円か・・・数万円か・・・」と思われるかもかも知れませんが、もらえるのにもらわないのは損です!

又、1人にかかった医療費と介護費ではなく、同保険・同世帯で合算できる「合算療養費」というのは助かりますね。
知っているか知っていないかで、損得の差がでてきます。金銭的な損得だけではなく、この制度を知ることで、もし医療費と介護費が重なったときも慌てず対応できるのではないでしょうか。

健康に元気でいる努力をしていても、年を重ねれば人間いつかは介護が必要な時期がきます。
その時は、無理せず介護保険を利用してみてください。

ケアマネジャーは、みなさんの声を聴いて、いろんな提案をしてくれますよ。
素敵なケアマネジャーとの出会いがありますように。

高齢社会となった今、より多くの方にこの制度を知って頂きたいです。