障害年金はいくらもらえる?受給要件・等級・よくあるQ&A

障害年金

気を付けていても、病気やケガによって「障害・後遺症」を負う日が訪れるかも知れません。

だからこそ、今回お話する「障害年金」については、多くの方々に知って頂きたいと強く思います。

私が介護士になって初めて働いたのは「身体障害者療護施設」という所で、脳梗塞で半身麻痺になった方や、先天性の知的障害の方、そして、事故に遭った10代の方なども一緒に生活を送っていました。

脳梗塞は急に起こり、事故も突然起こります…それは、明日の自分かも知れませんし、大切な家族かも知れません。

いつ誰がどうなるのかわかりませんが、障害に関する情報を知っていれば、前に進む勇気へとつながります。

今回は、障害を負い仕事や生活に支障が出る人へ支給される「障害年金」について詳しくお話をさせて頂きます。

障害年金とは?

病気やケガによって障害を負った人が、生活の安定を失うことのないように支給される年金を「障害年金」と言います。障害年金は、加入している年金によって支給額が異なります。

視覚障害や聴覚障害、手足が不自由といったことだけではなく、癌・糖尿病・高血圧・呼吸器疾患・精神疾患によって、仕事や日常生活に支障が出た場合にも障害年金を受給することができます。

厚労省の障害年金受給者実態調査(平成26年)によると、障害年金の受給者数は194万3000人。

それと比べ全国の障害者の数は(平成27年)、身体障害者393万7000人、知的障害者74万1000人、精神障害者320万1000人、合わせておよそ788万人。

障害者の1/4人が、障害年金を受給者しています。逆を言えば、3/4は受給していません。

つまり、障害者手帳を持っていても、全員が障害年金を受給できる訳ではないということです。

「障害年金」と聞くと「障害者手帳」をイメージされる方もいる思いますが、この2つは全く別の制度で、申請窓口も審査機関も異なります。

そのため、障害者手帳と障害年金の等級は、必ず同じになるというものでもありませんし、障害者手帳を持っていなければ、障害年金を申請できない訳でもありません。

障害年金の種類とは?

障害年金は、初診日に加入していた年金制度で障害年金の種類が異なります。つまり、病気やケガで初めて医師の診療を受けたとき、国民年金に加入していたら「障害基礎年金」、厚生年金に加入していたら「障害厚生年金」が請求できるという仕組みです。

老齢年金も、国民年金に加入していたら「老齢基礎年金」・厚生年金に加入していたら「老齢厚生年金」となりますよね。とらえ方は、老齢年金と同じです。

平成27年9月30日以前は「障害共済年金」もあったのですが、今現在は「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2つとなっています。

加入年金 障害年金の種類
国民年金 障害基礎年金
厚生年金 障害厚生年金
共済年金 障害共済年金
※現在、障害共済年金は、障害厚生年金と一元化されています。そのため、平成27年10月以降が初診日の方は、上記の「障害厚生年金」で手続きを進めることになります。

「障害基礎年金」「障害厚生年金」何がどう違うのか?それば「受給額」です。老齢年金の場合、「国民年金=老齢基礎年金のみ」「厚生年金=老齢基礎年金+老齢厚生年金の2つ」がもらえますよね。それと基本的な考えは同じですので、結果的に厚生年金の方が多くもらえることになります。詳しくは、以下で説明していますので読み進めて頂けると幸いです。

それでは、受け取るための要件と、いくらもらえるのか等それぞれ詳しく見ていきましょう。

その前に、「年金って20歳からだよね?じゃぁ、20歳未満の人が病気やケガにあっても障害年金は受け取れないの?」と疑問を抱いた方のために、まずはその点をお話をさせて頂きます。

二十歳歳前傷病(はたちまえしょうびょう)

通常私たちは、二十歳から年金の加入義務が生じますよね。

「じゃあ、二十歳前の子供が障害を負っても障害年金の受給権は発生しないのか?」

いいえ!受給権はあります!

二十歳前で年金保険料を納めていない状態で傷病を負ったとしても、障害年金を受給する事ができます。

しかし、ここで誤解してはいけないのは、「受給できるのは二十歳から」という点です。

障害認定日が二十歳になる前の場合は、二十歳になった月の翌月から。二十歳以降であれば障害認定日の翌月からの支給となります。

ちなみに、二十歳前傷病を活用する場合は、自動的に障害基礎年金の請求になります。

障害年金の受給要件

障害年金を受給するには、次の【1】~【4】すべての要件を満たさなければなりませんので、1つずつ確認していきましょう。

要件【1】初診日(ここ!重要ポイント!)

障害年金では、この「初診日」というのが、重要なポイントになります。「初診日」とは、障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師の診療を受けた日のことを指します。

しかし、わかりずらく誤解されやすい部分でもあるので「初診日の定義」について詳しく見ていきましょう。

もし、以下の③以後にあてはまる場合は判断が難しいため、専門の方に相談をしましょう。(ねんきんダイヤル

①初めて診療を受けた日(治療行為または療養に関する指示があった日)が初診日となります。

②同一傷病で病院が変わった場合
今は、セカンドオピニオンという考えが主流になり、最初に診断された病院だけではなく、他の病院でも診察を受ける方も増えてきましたよね。この場合、一番最初の病院で医師の診療を受けた日が初診日と判断されます。

③同一傷病で治癒し再度発症している場合(社会的治癒)は、再発後に最初に医師の診療を受けた日が初診日として認められることがあります。しかし、傷病や状態によって判断するのが難しいため、個人で判断せず専門の方へ相談しましょう。

※社会的治癒とは?
医療治療を行う必要がなくなり、社会復帰をして無症状で医療を受けることなく一定期間(傷病にもよりますが、少なくとも5年)経過していることを言います。

④勤務先の健康診断で異常が発見されたとしても、原則「健康診断を受けた日=初診日」とはなりません。基本的には、その後、医師の診療を受けた日が初診日となります。

⑤誤診後に傷病名が確定した場合は、最初に誤診をした医師の診療を受けた日が初診日となります。
例えば…会社勤め中は誤診状態 → 退職後に病名がはっきりしたというケースもあるでしょう。その場合、上記の流れでいくと誤診をした医師の診察日が初診日だと思いますよね。

そして、「じゃぁ、初診日の時点では、まだ会社勤務で厚生年金だったし、受給できるのは障害厚生年金か!」と考えたいものですが、すでに退職しているため障害基礎年金しか支給されない…というケースもあったそうです。

このケースに限ったことではありませんが、全てのことは「審査」によって判断決定されますので、「自分の場合はどうなんだろう」と不安な方は、早め早めに相談しておく方がいいと思います。

⑥じん肺症(じん肺結核を含む)については、じん肺と診断された日を初診日とします。
じん肺症とは?
粉じんやアスベストが肺に進入することにより起こる肺病。肺炎などの呼吸器感染症にかかりやすく、病状悪化の主な原因になっており、結核、肺がん、気胸などの合併症がみられることもあります。そして、じん肺に罹患した肺を元の健康な肺に戻す治療法はまだないそうです。

⑦障害の原因となった傷病以前に、因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病時に受診した日が初診日となります。

⑧先天性疾病の場合、20歳前に診察を受けていなくても20歳前の障害基礎年金を受給できる場合があります。
例えば、先天性疾患が「知的障害」の場合は、出生日にさかのぼって受給できるケースも。

⑨先天性疾患でも発症、受診した日が初診日となります。
例えば、網膜色素変性症、先天性心疾患、発達障害など

⑩例えば、糖尿病が原因で糖尿病網膜症を発症した場合、この2つは因果関係があると扱われ、原因となった「糖尿病」の方が初診日となります。

つまり、因果関係のある傷病だと判断されたら、「先に発症した原因となる傷病の初診日=障害年金での初診日」となる訳ですね。

なんか…初診日と一言でいっても、難しすぎますね。

簡単に「受診日=初診日」と考えていた自分が情けないです!「傷病」というのは、多くのケースがあるのだと勉強になりました。

「初診日」について簡単にまとめますと、「初診日はいつなのか」がはっきりして、カルテなどにより証拠の裏付けが取れなければ、障害年金の申請すらできないということです!早めに専門家へ相談して手を打っておきましょう!

では、次の要件を確認していきます。

要件【2】年金制度に加入

初診日に、年金(国民年金・厚生年金など)のいずれかに加入していること

ただし!以下の方は、国民年金被保険者と同じ扱いになります。
▶初診日に20歳未満の人(20歳前傷病
▶60歳以上65歳未満で老齢基礎年金の受給資格を満たしている人

要件【3】保険料納付確認

(1)初診日の前々月までの公的年金の加入期間について、2/3以上保険料が納付または免除されていること

または

(2)初診日において65歳未満であり、初診日の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

要件【4】障害の程度(障害認定日)

初診日から1年6ヶ月が経過した日の時点で、障害等級のいずれかに該当していれば、その日が障害認定日となり申請をすることができます。

※障害認定日とは?
初診日から1年6ヶ月経たないうちに、障害のもとになった病気やケガが治るか、または症状が固定して「これ以上は良くならない」という状態になった日。

障害の等級は重い方から1級・2級・3級と区分されており、国民年金の場合は、1級または2級に該当すれば「障害基礎年金」を受給することができます。

「障害厚生年金」の場合は、1級~3級に該当すれば受給することができます。そして、3級よりも軽い障害でも「障害手当」を受け取ることができます。

では、「障害等級」とは、どのように分類されているのか見ていきましょう。

障害年金の等級

「1級」と聞いても、どのくらいの状態をあらわすのか想像できませんよね。結構細かく分類されていますので、正確に確認されたい方は「日本年金機構の障害認定基準」をご覧ください。

 等級 障害基礎年金(国民年金) 障害厚生年金(厚生年金)
1級 自分の身の回りのことは辛うじてできるが、それ以外の活動は他人の介助を受けなければならない。
2級 必ずしも他人の介助は必要無いが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない。
3級  × 労働に著しい制限があり、傷病が治らない状態
障害手当金  × 初診日から5年以内に傷病が治ったもの(症状固定)・労働に制限がある状態

障害認定日の特例

上記でもお伝えしましたように、障害年金を申請できるのは、基本「初診日から1年6ヶ月経過」してからになります。しかし、障害認定日の特例として、以下に該当する日があれば、その日が「障害認定日」となり、1年6ヶ月経過していなくても申請することができます。(日本年金機構HPより引用

① 人工透析療法を行っている場合は、透析を初めて受けた日から起算して3ヶ月を経過した日

② 人工骨頭又は人工関節をそう入置換した場合は、そう入置換した日

③ 心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)又は人工弁を装着した場合は、装着した日

④ 人工肛門の造設、尿路変更術を施術した場合は、造設又は手術を施した日から起算して6ヶ月を経過した日

⑤ 新膀胱を造設した場合は、造設した日

⑥ 切断又は離断による肢体の障害は、原則として切断又は離断した日(障害手当金又は旧法の場合は、創面が治癒した日)

⑦ 喉頭全摘出の場合は、全摘出した日

⑧ 在宅酸素療法を行っている場合は、在宅酸素療法を開始した日

障害基礎年金っていくらもらえるの?

それでは、ずっと気になっていた「障害年金とはいくらもらえるのか?」について確認していきましょう。まずは国民年金から支給される障害年金について。

▼障害基礎年金の受給額(H29年4月分から)

1級 974,125円(月額 約81,177円)
2級 779,300円(月額 約64,941円)

子の加算(H29年4月から)

子の加算 2人目まで(1人につき)224,300円
3人目から(1人につき)74,800円

例えば、障害年金(1級)を受給する人に子供がいれば・・・974,125円+224,300円=1,198,425円/年となります。

※「子」の定義は、18歳の年度末(3/31)を過ぎていない子。又は、障害の1級・2級に該当する20歳未満の子を指します。

障害厚生年金っていくらもらえるの?

障害厚生年金は、障害基礎年金のように固定額ではないため、支給額の計算はかなり複雑です。

働いていた際の給与の額によって計算されるため変動します。これを「報酬比例」と言います。

この報酬比例で算出された金額をもとに、障害厚生年金は計算されます。

▼障害厚生年金の受給額(平成29年4月分から)

1級 (報酬比例の年金額×1.25)+配偶者の加給年金額(※224,300円)
※その方に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算されます。
2級 報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額(※224,300円)
※その方に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算されます。
3級  報酬比例の年金額 (最低保障額 / 584,500円)

※障害厚生年金をシミュレーションできるサイトもあります。しかし、定期的な法改正により基準額が変動している可能性もありますので、あくまで「だいたいの目安」としてご活用ください。

障害厚生年金1級・2級の方は、障害基礎年金額と併せて受け取ることができるため、障害厚生年金の方が断然お得です。つまりは、下記のようになります。

国民年金 厚生年金
1級 障害基礎年金のみ 障害基礎年金+障害厚生年金
2級 障害基礎年金のみ 障害基礎年金+障害厚生年金
3級 受給なし 障害厚生年金のみ

▼以下は、障害厚生年金の受給例としてご覧ください。

障害基礎年金1級 974,125円
障害厚生年金1級 800,000万円※暫定
配偶者の加算 224,300円
子の加算 224,300円
障害年金受給合計額 2,222,725円(月額約 185,227円)

障害年金のQ&A

障害年金の支給日っていつ?

障害年金の2回目以降の支給日は、偶数月(2.4.6.8.10.12)の15日が原則です。そして、障害年金は後払い制になっており、支払日に支払われるのは前々月分と前月分です。

例えば、12月15日に支払われるのは、10月分と11月分になります。

もし、振り込み日が土日であれば、前日の平日に振り込まれることになります。

申請してからどのくらいで振り込まれる?

以下、目安としてご覧ください。

障害等級や障害年金の金額の決定(裁定決定)が出るまでに、申請をしてから3~7か月程度

障害年金の振込みまでは、裁定決定が出てから2か月程度

よって、障害年金の申請から障害年金の受給までは、5~9か月はかかるであろうと考えておきましょう。しかし、ケースによって1年以上かかったのもあるそうですよ。

障害年金は、何歳から申請できるの?

障害年金を申請できる年齢は、20歳になった日(誕生日)から、65歳になる2日前(誕生日の2日前)までです。

※20歳前傷病の場合は、20歳未満でも申請できます。

もし、65歳未満で老齢年金をもらっていたら?

老齢年金を65歳未満で受け取っていると、障害年金の申請はできません。

障害年金が支給停止となるケースとは?

障害年金は、一度認定を受けると「障害状態」である限りは支給され続けます。しかし、以下の場合はご注意ください。

▶更新届が等級に該当しなかった場合
障害年金の更新の際に提出した診断書の内容が障害年金の等級に該当しないと、障害年金は支給停止。しかし、更新の審査結果が出た月の年金分から支給停止になるので、審査結果が出た月の前月分までは年金保障されることになります。

▶差し止められている場合
障害年金を継続するための更新手続きを怠ると、支給が差し止めされてしまいます。その期間は、「保留」という扱いのため、遅れても提出をすれば年金額が差し止められた月に遡って給付されます。

▶損害賠償金を受け取っている場合
障害年金を受給するに至った「病気やケガ」の原因が第三者行為(交通事故など)によるもので、その第三者から損害賠償金が支払われている状況になった場合、事故に遭った日から最大で36ヶ月の間、障害年金の支給が停止されます。

障害年金を受給するのに所得制限はあるの?

所得制限はありません。つまり、働ける状態であれば、働いていても大丈夫です。

障害年金の申請はどこにするの?

▶国民年金(障害基礎年金)の申請は、居住地の自治体(国民年金担当)へ申請しましょう。

▶厚生年金(障害厚生年金)の申請は、各地の社会保険事務所へ申請しましょう。

必要書類
・年金手帳
・戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか
・医師の診断書
・受診状況等証明書
・病歴、就歴状況等申立書
・受取先金融機関の通帳等(本人名義)
・印鑑
・その他、状況により必要な書類がありますので、各相談窓口で確認しましょう

まとめ

私自身、申請をしたことがない為わかりませんが、一説によれば申請は「一人でも可能」。しかし、「誰がやっても同じ」手続きと「結果が変わりうる」手続きがあるようですので、一度、専門の方に相談してみることをオススメします。

「自分でやった!でも、結果に納得いなかかった!不服申し立てする!」となると、また時間や手間もかかってしまいますので…。

傷病が原因で日常生活に支障がでると、精神的にも落ち込むことがあると思いますが、サポート制度を上手に活用し、一日でも早く穏やかな生活の日々が迎えられますように。